@yuichirominato 2019.01.20更新 218views

【リスクヘッジ】予測困難なブラックスワンを量子コンピュータで探す方法

ブラックスワン リスクヘッジ リスク計算 天変地異 暴落 金融

はじめに

よく相談が来るのがブラックスワンへの対応です。大事故や大地震などの突然来る天変地異や金融で突然来る大暴落など前兆を発見することなく状況が一変します。

そのような場合には予兆を読み取り、潜在変数から予測をすることは必要です。量子コンピュータを活用してそのような潜在変数からブラックスワンへの対応ができるかを考えてみたいと思います。

そこには意外と量子コンピュータの活用方法が潜んでいるかもしれません。

ブラックスワンとは?

ブラック・スワン理論(ブラック・スワンりろん、英語:black swan theory)は、「ありえなくて起こりえない」と思われていたことが急に生じた場合、「予測できない」、「非常に強い衝撃を与える」という理論[。とりわけ予測できない金融危機自然災害をよく表している。

ヨーロッパでは白鳥は白い鳥だけと思われていたが、1697年オーストラリアで黒い白鳥(コクチョウ:ブラック・スワン)が発見される。以来、ありえなくて起こりえないことを述べる場合、“ブラックスワン”という言葉を使うようになった[

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%AF%E3%83%B3%E7%90%86%E8%AB%96

突如来る上に影響が甚大なのでこれを少しでも予測できれば少なくとも備えをすることはできます。量子コンピュータにおいてこの部分にどの理論が使えるのかを考察してみます。

量子コンピュータは一億倍高速。NASAとGoogleが共同で発表

2015年の末にGoogleとNASAが共同でD-Wave社のマシンは既存計算機の一億倍高速という発表を行いました。この理論は世間に衝撃を与えて量子コンピュータがはやるきっかけとなりましたが、同時にこの理論は活用が難しいことで知られています。

NASA&Googleの量子コンピュータは「一億倍速い」の論文(量子アニーリング)はこちらを参考

この一億倍高速論文はWeak-Strong-Cluster問題という小規模クラスターを多数配置し、クラスター同士の計算バランスをみながら相転移のような急激な状況変化に対応するという論文です。

Weak-Strong-Clusterと社会問題の親和性

このWeak-Strong-Cluster問題は既存計算機との一億倍計算差がおこるという問題で、実際には計算過程での既存計算機がもっとも苦手とするエナジーバリアのたくさん出現する問題となっています。

エナジーバリアとは、計算をするべきグラフの峰が切り立っている問題で、既存計算機ではこの峰を超える際の計算は確率計算となっており、その確率計算において峰を超えるのがとても困難です。

D-Waveのマシンはこの際、量子効果を使って量子トンネル効果を実現でき、峰が切り立っていてもグラフを一定確率で反対側にすり抜けるという特徴を持っています。そのため、できるだけすり抜けられる反対側までの距離が短いのが重要で、峰の高さはあまり問題になりません。

既存スパコンでは峰の高さが問題になり、量子アニーリングマシンでは峰の高さは問題にならないため、大きな速度差が生まれます。

Weak-Strong-Cluster問題は小さなクラスターを多数配置し、微妙なバランスを取ることで、この峰が切り立ったグラフを意図的に再現した問題です。

初期の状態では、クラスターは形成されておらず、ランダムで問題が始まりますが、すぐに量子ビット同士の結合により、クラスタが形成され、2つに分かれます。

このクラスターはそれぞれの量子ビットにかかる局所磁場が、weak側が0.44に設定されており、-1に設定されたstrong側とJij=1で結合されています(D-Waveの設定とは符号が逆で理論に沿っています)。これらは初期の状態では2つのクラスターに分かれ、計算が進むとweak側が突然全てstrong側の影響により同時に反転します。

この同時に全て反転するという状況はそれまで微妙なバランスをとってそれぞれ独立して成立していた事象が突如としてバランスが崩れて一度に反転します。

簡単にいうとそのような問題は既存計算機では計算が難しくD-Waveが得意な問題です。逆にいうとグラフの形がなんともない社会問題は量子効果を発揮できません。

グラフが複雑で峰が切り立っていて峰が細い方がいいのです。何かしら検証したいモデルを量子コンピュータで実装できるようにイジングモデルで実装してみて、既存計算機との間に速度差が出る場合には、そのモデルは相転移の適用できるあやうい状況だということが逆にわかるでしょう。

KT相転移とリバースアニーリング

相転移を計算するのにD-Waveが行なっているKT相転移の再現とリバースアニーリングがあります。

量子アニーリングの問題点は原理的に初期状態がランダムでスタートします。既存計算機でもマルコフモンテカルロ計算の初期状態をランダムスタートにする感じです。この初期状態を古典ビットで準備してそこから横磁場をあげて探索を行い、横磁場を下げて再度解を得るということにより、任意の開始位置を設定して、横磁場の強さによって近傍の探索ができます。

モデルの作り方次第ですが、自分の欲しい近傍計算が実機でできます。リバースアニーリングで満遍なく均等に配置をして計算をすることで、新しい計算手法も生まれそうです。

まとめ

瞬時に計算をして欲しいという要望や、シミュレーションを通じて難しい計算をしたいという要望のあります。ブラックスワンの発見は難しい種別の問題に入るでしょう。

最近量子ゲートマシンで発表されたvanqverアルゴリズムは量子アニーリングでもさらに複雑なパスとすり抜けのスケジュールや経路を操ることができます。

https://qiita.com/ymurata/items/e01ddc953f6d27628c64

non-stoquasticモデルは相転移のような急激な変化を避ける計算をします。

相転移を回避するための量子コンピュータはMITで開発が進んでいますが、実現が困難ですが、同じ理論を汎用量子コンピュータではプログラミングで処理することができます。そのため、将来的にな予測のためにはIBMQのような汎用型量子コンピュータの活用が望まれるかもしれません。

ブラックスワンを量子コンピュータで発見するためには、モデルを構築しそれを評価することでできそうですし、将来的にはIBMQのような汎用マシンによってより複雑な計算ができるかもしれません。ライフゲームやパンデミックのようなものも計算できるかもしれません。

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